■税務 |
短期前払費用の計上時期に注意 |
費用の計上については、法人の利益に関わってくるため、税務調査において丁寧にチェックされる項目 |
の一つです。特に短期前払費用は、一定の要件を満たせば、支払時点での損金算入が認められますが、 |
要件を満たしていないと税務調査で否認されることになります。適正な処理が必要です。 |
1.費用の計上は支払うべき金額(債務)が確定してから計上する |
(1)損金に算入すべき金額について |
法人税法第22条第3項では、各事業年度の所得の金額の計算上その事業年度の損金の額に算入すべ |
き金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる金額とされます。 |
一 その事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに |
準ずる原価の額 |
二 前号に掲げるもののほか、その事業年度の販売費、一般管理費その |
他の費用(償却費以外の費用でその事業年度終了の日までに債務の |
確定しないものを除く)の額 |
三 その事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの |
(2)債務の確定の判定について |
法人税法基本通達2-2-12では、償却費以外の費用でその事業年度終了の日までに債務が確定して |
いるものとは、別に定めるものを除き、次に掲げる要件の全てに該当するものとされます。 |
①その事業年度終了の日までにその費用に係る債務が成立していること |
②その事業年度終了の日までにその債務に基づいて具体的な給付をすべ |
き原因となる事実が発生していること |
③その事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができ |
るものであること |
2.短期前払費用の損金算入が認められるケース・認められないケース |
(1)短期前払費用とは |
法人税法基本通達2-2-14では、前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために |
支出した費用のうちその事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう) |
の額は、その事業年度の損金の額に算入されないのであるが、法人が、前払費用の額でその支払った日 |
から3年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を |
継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認めるとされます。 |
(注)例えば借入金を預金、有価証券等に運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の |
計上と対応させる必要があるものについては、後段の取扱いの適用はないものとされます。 |
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【詳しくは】 |
国税庁・質疑応答事例「短期前払費用の取扱いについて」 他 |