経営 中小企業等経営強化法が成立〜生産向上の取組みに支援措置〜
  中小企業等経営強化法(中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の一部を改正する法律)が、
  平成28年5月24日に国会で可決成立し、6月3日に公布されています。生産性向上のための事業計画
  作成に取り組み、主務大臣の認定を受ければ、その計画に基づいて機械装置等を購入した場合に固
  定資産税の軽減などの特典が受けられます。
  1. 中小企業等経営強化法の概要
  (1)目的
   中小企業等の多様で活力ある成長発展が経済の活性化に果たす役割の重要性に鑑み、創業及び新
  たに設立された企業の事業活動の支援並びに中小企業の経営革新及び異分野の中小企業の連携に
  よる新事業分野開拓並びに中小企業等の経営力向上の支援を行うとともに、地域におけるこれらの活
  動に資する事業環境を整備すること等により、中小企業等の経営強化を図り、もって国民経済の健全な
  発展に資することを目的としています。(第1条関係)
  (2)「経営力向上」とは?
   「経営力向上」とは、事業者が、事業活動に有用な知識又は技能を有する人材の育成、財務内容の
  分析の結果の活用、商品又は役務の需要の動向に関する情報の活用、経営能率の向上のための情
  報システムの構築その他の経営資源を高度に利用する方法を導入して事業活動を行うことにより、経
  営能力を強化し、経営の向上を図ることをいいます。(第2条第10項関係)
  (3)「事業分野別指針」とは?
   主務大臣は、基本方針(中小企業等の経営強化に関する基本方針)に基づき、所管に係る事業分野
  のうち、中小企業者等の経営力向上が特に必要と認められる事業分野を指定し、専門家その他の関
  係者の意見を聴いて、事業分野別指針を定めることができることとされました。(第12条関係)
  (4)「経営力向上計画の認定」とは?
   中小企業者等は、単独で又は共同で行おうとする経営力向上に関する計画を作成し、主務省令で定
  めるところにより、これを主務大臣に提出して、その経営力向上計画が適当である旨の認定を受ける
  ことができます。ただし、中小企業者等が共同で経営力向上計画を作成した場合には、主務省令で定
  めるところにより、代表者を定め、これを主務大臣に提出することになります。
   経営力向上計画には、次に掲げる事項を記載しなければなりません。
   一 経営力向上の目標
   二 経営力向上による経営の向上の程度を示す指標
   三 経営力向上の内容及び実施時期
   四 経営力向上を実施するために必要な資金の額及びその調達方法
   五 経営力向上設備等の種類
  2. 支援措置
   本編でも述べていますが、認定事業者は、以下のような支援措置が受けられます。
  @固定資産税の軽減
   中小企業者等が、中小企業等経営強化法の施行の日から平成31年3月31日までの期間内に「認定
  経営力向上計画」に基づき取得(事業の用に供されたことのないものの取得に限る)をした経営力向上
  設備等に該当する機械及び装置で政令で定めるものに対して課する固定資産税の課税標準は、その
  機械及び装置に対して新たに固定資産税が課されることとなった年度から3年度分の固定資産税に限
  り、当該機械及び装置に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の2分の1の額とされます。
  A商工中金による低利融資
   経営力向上計画を策定した場合、商工中金の独自の融資制度により、低利融資が受けられます。
  B中小企業信用保険法の特例
   中小企業者は、経営力向上計画の実行にあたり、民間金融機関から融資を受ける際に、信用保証協
  会による信用保証のうち、普通保険等の別枠の追加保証や保証枠の拡大が受けられます。
  C食品流通構造改善機構による債務保証
   食品製造業者等は、経営力向上計画の実行にあたり、民間金融機関から融資を受ける際に、食品流
  通構造改善機構による債務の保証を受けられます。
   以上のほかに、「中小企業投資育成株式会社法の特例」や「日本政策金融公庫によるスタンドバイ・
  クレジット」「中小企業基盤整備機構による債務保証」があります。