The Strategic Manager 2015/APRIL
株式会社TKC発行「戦略経営者4」より
現場力平凡から非凡へ・・・
  経営戦略の実行を担う「現場」の底上げすることは、
  中小企業にとっても重要な課題である。
  ありふれた「平凡な現場」を卓越して「非凡な現場」に変えていくためには
  何が必要になるのだろうか。
    ・インタビュー                     早稲田大学ビジネススクール教授 遠藤 功 氏
・『現場論』に、『しか』を『でも』に変えるという話が出てきます。 中小企業の場合、同じ事業規模
を同じメンバーで10年、20年とやっているところが多く、社員も「自分しかできない仕事」を囲い
込んでいく傾向があります。「○○しかできない」を「誰でもできる」に変えていくためにはまず何が
必要ですか。
     それぞれの従業員が勝手に自分の専門分野を作ってしまい、「私はこれしかやらない」あるいは
    「これしかできない」という状態になっているのは、確かに中小企業の典型例といえます。
    経営者もその状況を放置しているし、なかにはむしろエキスパートとしての道を究めさせた方がよ
    いとさえ考えている人もいる。でもそれは、結果的に働く人たちの能力をせばめてしまうことになり
    ます。 もっと別の仕事ができる能力を持っているかもしれないのに、ある特定分野だけに特化さ
    せて、そこに閉じ込めておくのはあまりにもったいない。もちろん専門性を高めることも大事ですが
    「その人は本当にそれしかできないのか」「それを他の人がやることはできないのか」と、広い視
    野を持つ必要があります。
     「しか」が多い現場は、競争力がありません。マルチタスク、つまり「多能工化」できている会社の   
    ほうが断然強いのです。私が「しか」が多い会社に対して「お宅の会社は“しか(鹿)”ばかり多い
    奈良公園ですね」と揶揄して改善を促しているのは、そうした理由からです。
・ただ従業員のほうも、ある特定の仕事に執着したがる傾向があります。
     そのほうが楽だからですよ。自分が長年やり続けてきたことだけをやっているほうが断然楽なん
    です。だからそこに執着しようとする。 しかし、そこから引き剥がさないと、その人が持ち本来のポ
    テンシャルを生かし切れない。実は多様工化は、会社にとってもいいし、従業員にとっても実は楽
    しいものなんです。 「私はこれしかできません」ではなく、いろいろなことができるようになれば働
    いていて楽しいし、そこから新しいやりがいを見つけることも可能です。こうしたことを経営者自身
    がきちんと現場に伝えていかないと、いつまでも「しか」だけの会社のままです。
         つづきは、戦略経営者4月号をお読みください。