日本は、資源・エネルギーから食料、日用品の原材料に至るまで、その多く
を輸入に頼っています。最近の円安が、物価高騰の要因にもなっています。
 業種によっては、材料仕入れ価格の高騰に値上げ交渉が間に合わず、売上高
が増加しても売上総利益率の減少により、資金繰りが厳しくなっている。
 昨年の今頃は1ドル115円、本日は150円までドル高・円安が進んでお
り、今後の為替レートの動向は分かりませんが、原価コストと売値の調整等の
難しい経営の舵取りが続いていくようです。        2023/11/02
ゼロからの挑戦  稲盛和夫著  
値決めは経営
 経営の死命を制するのは、値決めであると私は考えている。
 製品の値決めに当たっては、さまざまなな考え方がある。
価格を下げ、利幅を少なくして大量に売るのか、それとも価格を上げ、少量販
売であっても利幅を多く取るのか、その価格設定は無段階でいくらでもある。
だから、値決めは経営者の思想の反映であると言ってよい。
  ある価格を決めたときに、どれだけの量が売れるのか、
またどれだけの利益が出るのかということを予想することは非常に難しい。
価格設定が高すぎて製品が売れなかったり、逆に売れたとしても安すぎて利益
が出なくなったり、いずれにしても値決めを間違えると、大きな損失を被るこ
とになる。
  自社製品の価値を正確に認識したうえで、製品一個当たりの利幅と販売数量
との積が最大値になる、ある一点を求め、それで値決めをしなくてはならない。
その一点は、お客様から見ても喜ばれるものでなくなてはならない。
  メーカーにおいては、このように、熟慮を重ねて決められた価格において、
最大の利益を生み出す努力が必要となる。その際、材料費がいくら、人件費が
いくら、諸経費がいくらといった固定概念や常識は一切捨て去るべきである。
価格に加えて、同時に決まる仕様や品質など、与えられた要件をすべて満たす
範囲で、製品を最も低いコストで製造する努力が不可欠なのである。