売上を増やすにも相手次第ということもあり、 
自らが目標売上高を立てるのは大変に難しいことです。
中小企業庁の手引書「経営力向上のヒント」を参考にしてはいかがでしょう。
売上目標
 売上は、商売の中心となりますが、売上目標を持たずに経営を行っている中小企業が意外に多い
ようです。目標を持たなければ、日々同じことを繰り返すことになりがちです。日々変化するお客さま
のニーズ等にいち早く対応していくことが、会社が生き残っていくための条件といえます。
売上の目標を立て(P)、実行し(D)、チェックし(C)、改善(A)を繰り返すことで、会社は成長します。
(1)売上目標を作成するメリット
① 夢の実現の第一歩
経営者には誰しも思い描く夢があるはずです。5年後、10年後はこんな会社にしたいという夢や漠然
とした思いです。夢を実現するためには、将来から逆算し、今何をすべきかを考えなくてはいけません。
売上目標と行うべきことを考え、紙に書いてみることが、夢を実現する第一歩になるでしょう。
② 将来を変えるきっかけ
売上目標を持つことで、実現するための具体的な取り組みを考えることができます。例えば、A社の子
会社とも取引ができれば、売上は2倍になる、しかし、今の仕入先では数量的に対応できない、不足す
る商品をどこから仕入れようか・・・など、いろいろなことが思い浮かびます。目標を持つことで、将来を
変えていくきっかけができるのです。
③ 新しいこと、困難なことにチャレンジ
売上目標を持つことで、現状以上の取り組みと成果が求められます。目標を社員と共有することにより、
各々の段階で新しい取り組みが始まります。 また、これまで上手くいかなかったことについても工夫が
生まれます。
(2)実施のポイント
① 目標額をどのように決めるのか
先ず、1年間の目標売上高を決めます。そして、目標売上高を達成するために必要な原価と経費を考え、
想定利益を組み立てます。初めて作る場合は、概算でも構いません。目標売上高が決まった後は、商品
得意先、担当者毎に割り振ります。
次は、この商品(群)別、得意先別、担当者別売上を月別に展開します。こうすると、月毎の売上の変化
や、各月での実現可能性が見えてきます。年間の大きな売上ではなく、月割りにすることで現実的な目
標として集中力を切らさずに取り組むことができるのです。大事なことは精度ではなく、売上目標を持ち、
達成するために努力することです。
② 目標額を決めたら重点方針を決める
 毎月の売上高を達成するための方針(=考え方)を決めましょう。法人企業であれば法人税申告書の
事業概況書に毎月の売上高が計上されており、個人事業では所得税申告の際に月別の売上が計上さ
れています。こうした過去の月別売上を参考にすることも有効です。重点商品や重点顧客、販売の中心
となる価格帯、具体的な販売促進方法などを絞り込んで考えます。
 例えば、
   1) どのお客様を狙うのか(市場の選択)
   2) どの商品に力をいれて販売していくか(重点商品の決定)
   3) どれくらいの価格帯で勝負するのか(価格の決定)
   4) どのような販売方法で勝負するのか(販売促進方法) などです。
重点方針として、やるべきことを絞り込むことで、経営資源の乏しい中小企業でも集中の効果を生み出
すことができるようになります。
③ 実績を把握し、分析する。
日次、週次の実績を把握することが大切です。できれば得意先別や商品別に把握します(地域や担当
者という切り口もあるでしょう)。
大事なことは、得意先や商品の売上高を数字化し、毎日観察することです。観察を続けると変化が見え
てきます。手を打てば数字が動き、対策を変えるとどのように数字が変化するか見えてきます。
売上の変化と原因を考えることで、さらなる売上向上や、回復の具体策を検討することができます。
このように、売上目標と重点方針(計画(PLAN))を立て、実行(DO)し、それをチェック(CHECK)し、
差異があれば内容を調査分析し、迅速にアクション(ACTION)を起こす。
このPDCAサイクルを回す習慣が、足腰の強い会社をつくります。