役員と同族会社間の契約と税金
  パターン2. 会社が役員にお金を貸す
   パターン1.と同様に、お金の貸し借りをする場合には、当然、会社と役員との間で、「金銭消
  費賃貸借契約」が締結することになりますが、会社が貸し手の場合には、原則として役員から
  利息を受け取る必要があります。
  1.取締役会の承認を得て、金銭消費貸借契約を作っておきましょう。
    ①会社が社長からお金を借りる、という行為は会社と役員との間で、「金銭消費貸借契約」
     を締結することになります。  契約書を作成しておきましょう。
     ここで注意をしなければならないことは、お金を貸す側が会社であることです。
    会社は、利益の追求を目的とする営利法人ですから、会社が社長にお金を貸すときにも、
    適正な利率により利息を徴収しなければならないということです。
  ②会社と役員が取引をすることは「自己取引」となり、会社法で自己取引に該当する場合
  には、取締役会(株主総会)の承認を得ることになっています。
   議事録を作成しておきましょう。
2.役員に対する貸付金の利息を徴収しなかったら
会社と役員の税金
□ 会社側の注意点
  無利息または低金利による貸し付けたら、適正利息との差額が役員報酬となります。
〈役員報酬の取扱について〉
  ・会社側にその役員報酬に対する源泉徴収の問題が発生します。
  ・役員報酬とされた金額が、定期同額給与の取り扱いに該当しなくなったり、報酬限度額
   を超過した金額は損金に算入することができません。
□ お金を借りた社長の税金
   役員報酬と認定された金額が「給与所得」となり、所得税が計算されます。
3.税法上の適正な利率により利息
 ①役員又は使用人に金銭を貸し付けた場合、次に掲げる利率によります。
  ・平成29年中に貸付を行ったもの・・・・ 1.7%
  ・平成30年中に貸付を行ったもの・・・・ 1.6%
  ・令和元年中に貸付を行ったもの・・・・ 1.6%
 ②役員又は使用人に無利息または低い利息で金銭を貸し付けた場合に、次の(1)から(3)
のいずれかに該当する場合には、上記①にかかわらず給与として課税しなくてもよいこと
  になっています。
  (1)災害や病気などで臨時に多額の生活資金が必要となった役員又は使用人に、その資
    金に充てるため、合理的と認められる金額や返済期間で金銭を貸し付ける場合
  (2)会社における借入金の平均調達金利など合理的と認められる貸付利率を定め、この
    利率によって役員又は使用人に対して金銭を貸し付ける場合
  (3)(1)及び(2)以外の貸付金の場合で、上記①の利率により計算した利息の額と実際に
    に支払う利息との差額が1年間で5,000円以下である場合