自社の資金繰り対策 7-02資金繰り改善
  「利益」と「キャッシュ・フロー」は同じではない
  売上げや利益が出ているのに資金が足りない、といった経験はないでしょうか。
 どこにその原因があるのか検討してみましょう。
   例えば
    売上高が100万円あって費用が80万円あったとします
売上高 仕入高 利益
100万円 80万円 20万円
    この場合、取引条件によってキャッシュ・フローは次のように異なってきます。
    ①売上・仕入も全て掛けで取引した場合
掛売上 掛仕入 キャッシュ・
フロー
 現金の収支がありませんので
100万円 80万円 0円  現金残高は変わりません
    ②売上は現金、仕入は掛けで取引した場合
現金売上 掛仕入 キャッシュ・
フロー
 現金収入が100万円あり、仕入支払いが
100万円 80万円 100万円  ありませんので現金残高は100万円増加
    ③売上は掛けで、仕入は現金で取引した場合
掛売上 現金仕入 キャッシュ・
フロー
 売上収入は0円、仕入支払いが80万円あり
100万円 80万円 △80万円  現金残高は80万円減少
    ④売上・仕入も全て現金取引であった場合
現金売上 現金仕入 キャッシュ・
フロー
 売上・仕入も現金取引ですので、
100万円 80万円 20万円  差額の現金残高は20万円増加
決算期末の売掛金残高が前期末より増加していたり、買掛金残高が減少しているときには、
例③のように利益があるのに現金不足となってしまい、逆の場合には利益がでていなくても
資金繰りに余裕があることになります。
 今回は、基本的な掛け取引によるキャッシュフローのお話しでしたが、実際の会社取引は
もっと複雑で、棚卸し資産、固定資産の取得と減価償却費の関係や借入金の返済等による
資金繰りの影響があります。次回は、「会社の利益=現金の増加」となるような財務内容に
するにはどうしたらよいのか考えてみましょう。