成功する人は 成功すべくして 成功している |
『成功の要諦』より 致知出版社 著者:稲盛和夫氏 |
六波羅蜜の修業で心を磨く P154~ |
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かねてより、私は経営には哲学が必要だと説いてきました。また、「人生・仕事 |
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の結果=考え方×熱意×能力」という方程式をつくり、考え方が重要だという |
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ことを訴えると同時に、考え方、つまり心を高めることが経営を伸ばすことになるの |
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だとも論じてきました。 |
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一方、そのような中で、私は仏教を勉強するようになり、「六波羅蜜」のことを |
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知りました。六波羅蜜とは悟りを開くためにお釈迦さまが説かれたもので、六つの |
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修業をすることによって人間の心が浄化、純化され、最終的に悟りの境地に行き |
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着くことができるというものです。 |
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僭越かもしれませんが、私が論じてきた、経営には哲学が必要という議論と、 |
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お釈迦さまが説かれた六波羅蜜は同じことを言っていることに気がつきました。 |
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人生の目的である心を磨くためには、何をしなければならないかを説明している |
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ことが、まったく同じなのです。 |
利他の心を持ち、煩悩を抑える P155~157 |
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心を浄化、純化し、ついには悟りの境地に行き着くという六波羅蜜の六つの修業。 |
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その最初に挙げられているのが「布施」です。布施とは施しをするということであり、 |
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世のため人のために尽くすということです。 |
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我々は事業家として、企業経営者として、正当な利益を追求し、その利益で従業 |
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員を養い、社会に貢献しています。また私は常に「利他の心」ということを説き、他 |
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を利するということを大変大事にしてきました。 |
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例えて言うなら、風呂の浴槽の中で掌でお湯を向こうに押しやると、お湯は必ず |
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こちらにはね返ってくるようなものです。 他愛ない話に聞こえますが、相手のため |
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になることをすると、必ずこちらに返ってくるものがあるということです。 |
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「情けは人のためならず」というように、人のために尽くしてあげることによって自 |
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分自身が潤うのです。 |
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人のために尽くすことを、常に考え実行する。これが布施の修業なのです。 |
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六波羅蜜の二つ目は「持戒」です。戒律を守る、つまり煩悩を抑え、人間として |
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してはならないことはしないということです。 |
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人はひとたび成功すると、どうしてもさらなる成功を求めてしまいます。成功した |
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ことに感謝し、足を知ることが必要であるにもかかわらず、「ここまで成功したのは |
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自分の力だ。自分はもっと成功できるはずだ」と、感謝するどころか、不足を感じる。 |
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そうして傲慢にもさらに成功を求めてしまう。そのように止まることを知らず、足るこ |
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とを知らない欲望を貪欲というのですが、貪欲を含むさまざまな煩悩を抑えるのが、 |
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持戒なのです。 |
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六波羅蜜の三つ目は「精進」です。・・・次月号につづく |