黒字決算のために不可欠な
経営計画の作成手順
前月号より
目標経常利益の達成と資金繰りの安定
  Q 当社の課題の一つは最近、資金繰りが大変な   A. 営業サイクルにおいて、品揃えを良くしよう
   ことなんです。   と在庫を増やせば、増加した在庫分だけ資金
     が必要になります。 また、売掛金の回収が遅
  A.資金を安定して確保するにはどうしたらよいかを   れると、遅れた分の資金を新たに調達しないと、
   考えてみましょう。 会社に日常的な営業活動に必   買掛金や固定費の支払いが滞ってしまいます。
   要な資金は大まかに次のように分類されます。   
  ○日常的な営業資金を分類すると・・・   Q.なるほど。 在庫を適正に管理して不良
   ①営業サイクルに必要な資金    在庫を持たないことや滞留した売掛債権を
   「仕入→支払→在庫→販売→回収」というサイクル    作らないことも、資金繰り対策として重要な
   の中で仕入から代金回収までのタイムラグに伴い    ことなんですね。
   必要な運転資金   
   ②固定費の支払いに必要な資金   A. 在庫や売掛金の回転日数が同じままで取引
   人件費や家賃など売上の多寡に影響されず、固定    額が大きくなれば、営業サイクルで必要になる
   的に支出する資金    資金は当然増加します
   ③年間積立額     資金繰りを安定させるためにも、当初想定し
   定期積金など積立に必要な資金   た目標経常利益を変更することなく、その達成
   ④年間元本返済額   方法をあらゆる角度から検討して、経営計画の
   ①②のための資金や固定資産の購入資金を金融   策定を進めてください。 それが重要なんです。
   機関からの借入金でまかなっている場合、毎月の   
   借入返済に必要な資金   
       
  経営計画を作成する手順(TKC継続MASシステム)
  経営計画は、その計画する期間によって、「長期経営計画」(10年程度)、「中長期経営計画」(3~5年)
  「短期経営計画」(1年)の3つに分類することができます。
   短期経営計画は、「今を知るモノサシ」として、数値などを詳細に計画したもので、業績検討会で計画と
  実績の差を読むことによって、日々の行動を再点検し、必要に応じて新たな行動を起こすためのものです。
   TKC継続MASシステムでは、以下の「経営者への5つの質問」によって、短期経営計画を策定します。
    Q1. 次期の目標経常利益はいくらとしますか?
    Q2. 次期の売上高の伸びを前年比でどう見ていますか?
    Q3. 次期の限界利益率(粗利益率)をどれだけ確保できますか?
    Q4. 次期の従業員給与・賞与を前年比でどう見ていますか?
    Q5. 次期の期末の人数は何人ですか?
   作成した短期経営計画に対して、四半期ごとに業績検討会を開催します。 予算・実績差異分析を行って
  業績確認と問題点が発見できます。業績検討会を通じて改善策を見い出したり、予想される納税額を資金
  繰りに織り込みます。