黒字決算に向けた決算対策
* 2月号のつづき
(2)来期につながる節税対策
 節税のために、損金(経費)が増えても、資金繰りが苦しくなるようでは意味がありません。
節税対策は、経営に必要な資金を残しつつ、来期の業績につながるような対策を検討します。
対策例① 決算賞与の支給
 業績が予想以上に良い場合には、決算賞与の支給する方法があります。 全従業員への
決算賞与の支給は損金に算入できるうえ、従業員のモチベーションも上がります。
ここに注意!
 決算期末までに支給できず、未払で計上する場合には、次の要件を満たす必要があります。
 ①支給額を各人別に、かつ同時期に支給を受けるすべての従業員(パート・アルバイト含む)
   に対して、決算期末までに通知していること
 ②決算期末から1か月以内に支払っていること
 ③損金経理をしていること
対策例② 30万円未満の備品の購入
 パソコンや備品などは、1つ30万円未満であれば、年間で合計300万円まで取得価額の
全額を損金に算入することができます。
対策例③ 修繕費の前倒し実施
 次期に予定している修繕費等を当期中に前倒しが可能であれば検討しましょう。
ただし、当期中に完了する必要があります。
対策例④ 不良在庫の処分
 不良在庫があれば、セールなどで原価割れで販売し、原価との差額分を売却損として計上
します。 また、陳腐化して売れない商品は、廃棄処分して廃棄損を計上します。
 来期につながる節税対策を検討しよう!
臨時・決算賞与の支給  
中小企業退職金共済への加入
役員退職金の支払い
社員の教育研修の実施
30万円未満の備品の購入
修繕費の前倒し実施
広告宣伝費の実施
次期販促の前倒し実施
減価償却資産の購入
不要な償却資産の処分
不良債権の処分
不良在庫の処分
倒産防止共済の加入
効果的な決算対策は「月次決算」から
 一般的に年に1回行われる決算の直前にできる対策は限られています。
 そのため、直近1か月の業績をタイムリーに把握し、迅速な経営判断を行う月次決算体制
の中で検討することが望ましいといえます。毎月、帳簿を締めて、最新の売上高、売上原価、
経費や利益を掴む月次決算での検討の積み重ねがあって、 はじめてより的確な決算が可
能になります。