オーナー社長のための
自社株評価と事業承継
  自社株の相続を考える   株価が高くなる理由
   中小企業の多くは、経営者と株主がほぼ同一   ①業績の累計で算定
  であり、事業承継を考える場合には、「経営と承継」    自社株の算定は、単年度の損益で金額が決まる
  と「財産の承継」の2つの面から考えなければなり   わけではなく、創業以来の業績の累計で計算する
  ません。   ことになります。
  ①経営の承継    そのため、「最近、赤字続きだから・・・」といって
   「企業の経営者」として、いかに会社の経営を絶え   自社の株価が低いとは限りません。
  ることなく承継させていくか、を考えることが課題に   ②含み益の存在
  なります。    また、企業の保有している資産の中に土地等が
  ②財産の承継   ある場合は、その含み益も考慮しなければなりま
   「会社の株主」として、自社株を「いつ、誰に」承継   せん。地価の低い時代に取得した土地をそのまま
  させていくか、を考えることが課題になります。   保有している企業については、株価が思いのほか
  なぜ、自社株評価が必要なのか?   高くなる場合があります。
   財産の承継を考える場合、一般に主な選択肢とし   ③簿外処理した保険など
  て、次のような方法があります。    そのほかにも、節税のために簿外処理した生命保
   ・親族に承継する   ・従業員に承継する   険などがあると、株価を押し上げる要因になります。
   ・第三者に承継する ・自分の代で会社を閉じる   株価を引き下げるための対策
   以上の選択肢のどの場合においても自社の株価    株価の引き下げ策として、一般的には「利益を
  の問題が生じます。   圧縮する」手法がとられます。
   自社株の評価が高いと、オーナーの相続が発生     ・役員退職金の計上
  した場合に、思った以上に相続の負担が増えてしま     ・含み損のある資産の売却 等
  う場合があります。    代表的な手法は役員退職金の計上です。代表
  株価が高い場合の問題点   取締役を何十年も務めた社長が引退する場合など
    自社株を親族以外の第三者に売却するのであれ   は、退職金の金額は億単位になることもあります。
  ばオーナーとしては、株価が高いほど得られる金銭   役員退職金は特別損失に計上されるため、その期
  が多くなる可能性が高くなるため、 株価が高いほう   は赤字に転落することも考えられます。
  が有利といえます。 しかし、親族に承継する場合や    その他、含み損のある資産を売却して損失を計上
  会社を閉じる場合は、一般的にオーナーとしては得   する方法もあります。
  られる金銭がないことから、 自社の株価が低いほど
  税額が小さくなるため、 株価が低いほうが有利であ
  ることが多くなります。
   自社株の評価が必要かチェックしてみましょう!
   以下のチェックリストに、一つでも該当すれば、自社株の評価を行うことをお勧めします。
   □ 社長が会社の株の大半を保有している。
   □ 決算書の純資産の部合計が一億円を超えている。
   □ 会社で所有している土地があり、その土地の含み益がある。
   □ ここ数年間で一度も自社株の算定を行っていない。