TKC出版  ランチェスター法則に学ぶ     
弱者必勝の
 小さな会社でも必ず勝つ方法がある
 経営の目的を 「小規模一位作り」や「部分一位作り」に定める
   社長にとって最も関心が高いことは「どうすれば利益を多くして良い会社に
  なれるか」でしょう。利益を多くする方法については、いろんな考え方がある
  ので迷うことが多いのではないでしょうか。
    私は以前決算書が公表されている株式上場企業のデータを使って、従業
  員1人当たりの経常利益を出しました。次に業種別に会社の市場占有率を
  調べて、この2つに関連がないか調べたところ、ある事実に気付きました。
    それは市場占有率1位で26%以上を押え、かつ2位との間に10対6以上
  の差をつけている会社の従業員1人当たりの経常利益は、2~4位の「3~4
  倍」も多いという事実でした。その理由は、1人当たり経常利益が、市場占有
  率の2乗に比例して出ているからです。
    1位の市場占有率が30%で2位が15%の場合、市場占有率は「2対1」で
  すが、従業員1当たりの経常利益はこの2乗で「4対1」になるのです。
  もちろん単年度だけではこうならない場合もありますが、3~4年を平均すると
  7~8割の率でこうなります。
    しかし、これら上場企業のデータは先に述べた「強者の戦略」の結果得られ
  ものです。 ですから中小企業は「弱者の戦略」にのっとり、実績のある業
  歴の古い会社のように“総合1位主義”を狙うのではなく、小規模で1位になる
  か、部分で1位になるかという大企業とは異なる“1位主義”の経営目標を持つ
  べきです。
    中小企業でも従業員1人当たりの経常利益が業界平均の2倍も3倍も多い
  会社を調べると、必ず競争力がある強い商品があったり、顧客を集中して作っ
  た1位の地域があります。これは他社よりも有利な条件で粗利益が「補給され
  る根拠」を作らないと、根本的に利益性は良くならないことを表しています。
    一般的に、売上高を多くすると利益が多くなると考えられています。しかし業
  種が同じ場合、 年商の大小と1人当たりの経常利益との間に、はっきりした相
  関関係はありません。以上のことから顧客作りに直接関係する、商品・営業地
  域・業界・客層で、小規模1位作りを目指して経営をする社長と、目先の売上や
  利益だけを追い求めている社長とでは、 5~6年もすると大きな差がつくことに
  なるのです。